「画面では鮮やかだったのに、届いた本は全体に眠い色だった」——同人誌でいちばん多い失敗のひとつが、色のくすみです。原因は大きく3つあり、入稿前に把握しておけばかなりの部分は対策できます。
原因1:色の範囲(色域)の違い
画面表示のRGBは、印刷のCMYKより広い範囲の色を出せます。範囲の外にある色は、変換のときに「範囲内でいちばん近い色」に置き換わるため、鮮やかさが落ちます。とくに影響を受けやすいのは、鮮やかな水色やエメラルド、黄緑、蛍光ピンク、濃く鮮やかな青などです。逆に、肌色や茶色などの落ち着いた色は範囲内に収まることが多く、ほとんど変わりません。
原因2:紙は光らない
画面は自ら光っているので、色が明るく見えます。一方、紙の色は「当たった光が反射して見える」ものなので、同じ色でも暗く感じます。また、紙の白は画面の白より少し黄みがかっていることが多く(紙の種類によります)、全体の印象が変わります。印刷所の用紙サンプルで確認できる場合は、表紙の紙だけでも実物を見ておくと安心です。
原因3:インク総量の制限
CMYKの合計(インク総量、TAC)には上限があります。4色を目いっぱい重ねると、乾きにくくなって裏移りや汚れの原因になるため、変換のときに合計が上限(印刷所やプロファイルにより300〜350%程度)を超えないよう自動で抑えられます。暗く濃い部分ほどこの影響を受けやすく、「影の部分が潰れて平らになった」という形で現れます。真っ黒にしたい部分は、K100%に他の色を少し足す「リッチブラック」を印刷所の推奨値で使うと深みが出ます(ただし細い文字にリッチブラックを使うと版ズレで読みにくくなるので避けてください)。
入稿前にできる対策
- 変換後の色を先に見る:CMYK変換した画像を画面で確認し、印象の差を把握しておく
- 鮮やかすぎる色は少し落とす:範囲外の色はどうせ置き換わります。自分で彩度を少し下げた方が、置き換わり方をコントロールできます
- 大事な色は明るめに寄せる:印刷では暗くなりがちなので、主役の色は少し明るくしておくと画面の印象に近づきます
- 印刷所の対応を確認する:RGB入稿を受け付けて自社変換してくれる印刷所もあります。色に強い印刷所を選ぶのも手です
なお、このサイトの簡易シミュレーションは「だいたいの傾向」をつかむためのもので、実際の印刷結果は紙と印刷所の環境で変わります。色にこだわる一冊ほど、少量の試し刷りや印刷所の色校正サービスの利用を検討してください。
ガイド記事一覧
- CMYKとは?RGBとの違い
- 印刷すると色がくすむのはなぜ?(この記事)
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